書籍詳細

マンガで楽しむ古典 万葉集

井上さやか=監修

サイズ・頁数 A5判・320頁
ISBNコード 978-4-8163-5898-2
価格(税込) 1,430円
発行日 2016.02.12

内容紹介

日本人として今こそ味わいたい万葉集の魅力を、マンガを交えて楽しく紹介しました。全4,500首余りある万葉集の中から、愛の歌、四季と暮らしの歌、日本全国ゆかりの歌の3つのテーマにわけ、選りすぐりの名歌を150首以上収録しています。時代を越えて私たちの共感を呼ぶ、珠玉の歌にぜひふれてみませんか。

目次

万葉を描く

万葉の風景 飛鳥・山の辺・奈良・吉野・近江・筑前

はじめに

もくじ

本書の見方



第一章 愛に生きる人の歌

『万葉集』は愛の歌集

【悲恋物語】

1  磐姫皇后

磐姫皇后/君が行き 日長くなりぬ 山たづね

 かくばかり 恋ひつつあらずは 高山の

 ありつつも 君をば待たむ 打ち靡く

 秋の田の 穂の上に霧らふ 朝霞

2  但馬皇女・穂積皇子

但馬皇女/秋の田の 穂向の寄れる かた寄りに

 後れ居て 恋ひつつあらずは 追ひ及かむ

 人言を 繁み言痛み 己が世に

穂積皇子/降る雪は あはにな降りそ 吉隠の

3  狭野茅上娘子・中臣宅守

狭野茅上娘子/君が行く 道のながてを 繰り畳ね

中臣宅守/塵泥の 数にもあらぬ われ故に

額田王/あかねさす 紫野行き 標野行き

大海人皇子/紫草の にほへる妹を 憎くあらば

鏡王女/秋山の 樹の下隠り 逝く水の

天武天皇/わが里に 大雪降れり 大原の

藤原夫人/わが岡の 龗に言ひて 落らしめし

柿本人麻呂/秋山の 黄葉を茂み 迷ひぬる

 去年見てし 秋の月夜は 照らせども

高市皇子/山振の 立ち儀ひたる 山清水

大伴旅人/世の中は 空しきものと 知る時し

 吾妹子が 見し鞆の浦の むろの木は

大伴坂上郎女/佐保河の 小石ふみ渡り ぬばたまの

 来むといふも 来ぬ時あるを 来じといふを

 恋ひ恋ひて 逢へる時だに 愛しき

大伴家持/百年に 老舌出でて よよむとも

 振仰けて 若月見れば 一目見し

笠女郎/相思はぬ 人を思ふは 大寺の

粟田女娘子/思ひ遣る すべの知らねば 片垸の

作者未詳/紫は 灰指すものそ 海石榴市の

 たらちねの 母が呼ぶ名を 申さめど

 うち日さす 宮道を人は 満ち行けど

 眉根搔き 鼻ひ紐解け 待つらむか

 言霊の 八十の衢に 夕占問ひ

 朝寝髪 われは梳らじ 愛しき

 鳰鳥の 葛飾早稲を 饗すとも

 信濃なる 千曲の川の 細石も

【悲劇の皇子】

1  有間皇子

有間皇子/磐代の 浜松が枝を 引き結び

 家にあれば 笥に盛る飯を 草枕

2  大津皇子・大伯皇女

大津皇子/ももづたふ 磐余の池に 鳴く鴨を

大伯皇女/うつそみの 人にあるわれや 明日よりは

万葉歌人系図



第二章 四季と暮らしの歌

『万葉集』×「百人一首」

四季/春

石ばしる 垂水の上の さ蕨の/志貴皇子

春の野に すみれ摘みにと 来しわれそ/山部赤人

あしひきの 山桜花 日並べて/山部赤人

春の野に 霞たなびき うら悲し/大伴家持

わが屋戸の いささ群竹 吹く風の/大伴家持

うらうらに 照れる春日に 雲雀あがり/大伴家持



春過ぎて 夏来るらし 白栲の/持統天皇

霍公鳥 来鳴き響もす 卯の花の/石上堅魚



秋風の 清けきゆふへ 天の川/作者未詳

秋の野に 咲きたる花を 指折り/山上憶良

萩の花 尾花葛花 瞿麦の花/山上憶良

夕されば 小倉の山に 鳴く鹿は/崗本天皇

経もなく 緯も定めず 少女らが/大津皇子



新しき 年の始の 初春の/大伴家持

行事

吾妹子が 額に生ふる 双六の/安倍子祖父

わが園に 梅の花散る ひさかたの/大伴旅人

〈贈りもの〉

言問はぬ 樹にはありとも うるはしき/大伴旅人

衣食住/衣

紅は 移ろふものそ 橡の/大伴家持

針袋 帯び続けながら 里ごとに/大伴池主



験なき 物を思はずは 一坏の/大伴旅人

石麻呂に われ物申す 夏瘦に/大伴家持

醬酢に 蒜搗き合てて 鯛願ふ/長忌寸意吉麻呂



世間を 憂しとやさしと 思へども/山上憶良

風雑り 雨降る夜の 雨雑り/山上憶良

島の宮 上の池なる 放ち鳥/作者未詳

仕事

梅柳 過ぐらく惜しも 佐保の内に/作者未詳

勝鹿の 真間の井を見れば 立ち平し/高橋虫麻呂

稲舂けば 皹る吾が手を 今夜もか/作者未詳

志賀の海人は 藻刈り塩焼き 暇なみ/石川少郎

家族

憶良らは 今は罷らむ 子泣くらむ/山上憶良

稚ければ 道行き知らじ 幣は為む/作者未詳

布施置きて われは乞ひ禱む 欺かず/作者未詳

信濃道は 今の墾道 刈株に/作者未詳

父母が 頭かき撫で 幸くあれて/丈部稲麻呂

防人に 行くは誰が背と 問ふ人を/作者未詳



第三章 日本全国ゆかりの歌

万葉ゆかりの地めぐり

万葉地図

【三つの都の歌】

(1)飛鳥宮

采女の 袖吹きかへす 明日香風/志貴皇子

(2)藤原京

藤原の 大宮仕へ 生れつぐや/作者未詳

やすみしし わご大王 高照らす/作者未詳

(3)平城京

あをによし 寧楽の京師は 咲く花の/小野老

東北地方

天皇の 御代栄えむと 東なる/大伴家持

安積香山 影さへ見ゆる 山の井の/作者未詳

関東地方

多麻川に 曝す手作 さらさらに/作者未詳

妹が門 いや遠そきぬ 筑波山/作者未詳

東海地方

桜田へ 鶴鳴き渡る 年魚市潟/高市黒人

遠江 引佐細江の 澪標/作者未詳

くしろ着く 手節の崎に 今日もかも/柿本人麻呂

北陸・信越地方

馬並めて いざ打ち行かな 渋谿の/大伴家持

伊夜彦 おのれ神さび 青雲の/作者未詳

近畿地方

三香の原 久邇の京は 荒れにけり/田辺福麻呂歌集

難波人 葦火焚く屋の 煤してあれど/作者未詳

あさもよし 紀人羨しも 亦打山/調首淡海

大和地域

香具山と 耳梨山と あひし時/中大兄皇子

わたつみの 豊旗雲に 入日射し/中大兄皇子

見れど飽かぬ 吉野の河の 常滑の/柿本人麻呂

阿騎の野に 宿る旅人 打ち靡き/柿本人麻呂

中国・四国地方

飫宇の海の 河原の千鳥 汝が鳴けば/門部王

石見のや 高角山の 木の際より/柿本人麻呂

熟田津に 船乗りせむと 月待てば/額田王

九州地方

新羅へか 家にか帰る 壱岐の島/六鯖

神さぶる 荒津の崎に 寄する波/土師稲足

隼人の 薩摩の迫門を 雲居なす/長田王



●ワンポイント『万葉集』

万葉びとの恋と結婚

万葉びとの「四季観」

万葉時代の暦

正倉院宝物と『万葉集』

万葉びとの装い

万葉歌のなかの衣と食

万葉びとと「時刻」

浦島太郎伝説

「飛鳥」と「明日香」

平城京の風景

仏教と万葉歌

万葉歌留多



●万葉ヒストリー

壬申の乱

白村江の戦いと近江への遷都

万葉時代の海外交流



万葉仮名クイズ



『万葉集』Q&A



【万葉の代表歌人たち】

飛鳥時代 額田王

柿本人麻呂

高市黒人

奈良時代 山部赤人

山上憶良

大伴旅人

大伴坂上郎女

大伴家持

飛鳥・奈良時代 名前のわからない人々



万葉年表

キーワード索引